「飲食店の内装工事っていくらかかる?」と疑問を抱えている人もいるでしょう。
漠然と高額な費用がかかるということは知っていても、費用相場までは知らない人も多いのです。
この記事では、飲食店の内装工事における費用相場や内訳、また内装工事をするうえでのポイントや注意点をご紹介します。
飲食店を始めることを考えている人は、本記事を読むことで飲食店の内装をどのように考えていけば良いのかが分かりますので参考にしてください。
飲食店の内装工事における内訳は?
はじめに飲食店の内装工事における費用の内訳について解説します。
業態によっても費用は異なる
一括りに飲食店といっても様々な業態があるため、内装工事にかかる費用相場はそれぞれ異なります。
●レストラン:25〜40万円
●カフェ:15〜25万円
●和食店:35〜50万円
●焼肉店:50万円〜
※すべて坪単価
(参考:https://reform-market.com/office-interior/contents/expenses-restaurant)
レストランはフードをメインに提供しているため、厨房設備に費用がかかります。
反対にカフェではドリンクやデザートがおもな提供になるため、厨房設備にそこまで大きな投資は必要ありません。
また和食店は使う食材も高級なものが多く、それに合わせて店内も高級志向の内装にすることがあります。
そして焼肉店では客席に複数の換気扇を設置するため、それだけ高い工事費用がかかってしまうのです。
このようにどんな飲食店を経営するのかによって大きく費用が異なるため留意しておきましょう。
設備に関する費用相場について
次に、飲食店を開店させるために必要な設備に関する費用相場をご紹介しましょう。
●電気工事:80〜120万円
●ガス工事:30〜40万円
●水道工事:60〜120万円
●空調工事:80〜120万円
(参考:https://reform-market.com/office-interior/contents/expenses-restaurant)
居酒屋や焼肉店などで大型冷蔵庫を使用する場合には、大量の電力が消費されてしまいます。
そのため、もしも現在の電気容量が足りない場合には「幹線引き込み工事」が必要です。
この工事で太い幹線に変更し、使える電気容量を増やします。
これには上記の電気工事の相場にプラスして費用がかかるため注意しましょう。
また空調工事ですが、焼肉店のように複数の換気扇が必要な場合や、店内が広くエアコンと室外機が離れてしまっている場合などはこの相場よりも高額になることが考えられます。
しっかりと業者に見積もりを取ってもらい、予算と比較検討しながら進めてください。
「スケルトン物件」と「居抜き物件」の違い
飲食店を始めたいと考えて物件を探し始めるときに「スケルトン物件」と「居抜き物件」という言葉を目にするかもしれません。
スケルトン物件とは、その物件に以前入っていたお店が撤退する際に、内装や設備・壁紙などすべてを撤去して空っぽの状態になっている物件のことです。
一方で居抜き物件とは、以前のお店の内装や設備などが残っている物件で、そのままの状態で物件を借りることができます。
両者には一長一短があるため、それぞれご説明しましょう。
スケルトン物件のメリット・デメリット
スケルトン物件のメリット・デメリットは次のとおりです。
【メリット]
●経営者好みの内装に工事できる
●前のお店の内装撤去費用がかからない
【デメリット]
●好みの内装にするための工事費用がかかる
●工期があるためすぐにお店を始められない
スケルトン物件は自分好みの内装にできることや、以前入っていたお店の内装撤去費用がかからないなどのメリットがあります。
その反面、当たり前ですが内装工事費用がかかったり、工事期間の間お店を始めることはできなかったりと難点もあるのです。
一から内装を考えて納得のいく店内にできることは良いですが、居抜き物件と比較すると倍以上の費用がかかることも珍しくありません。
居抜き物件のメリット・デメリット
次に居抜き物件のメリット・デメリットをご紹介します。
【メリット]
●前のお店の設備や内装をそのまま使えるため内装工事費用を抑えられる
●工事する箇所も少ないため工期が短い
【デメリット]
●好みの内装ではない可能性もあるため、納得できない部分もある
●故障している設備などもあり自己責任で修理する必要がある
居抜き物件を契約したのに自分好みの内装に大幅に工事してしまうと、そこから退去する際に内装の撤去を命じられることもあるため注意しておきましょう。
飲食店の内装工事をするときの注意点
飲食店における内装工事で注意すべき点を4つご説明します。
費用は坪単価で考えておく
内装工事費用は基本的に「坪単価」だと考えておきましょう。
例えば冒頭でご紹介した、カフェの内装費用相場「15〜25万円」で考えてみます。
20坪のカフェで、一番安い1坪あたり15万円で内装工事が済んだ場合は「15万円×20坪=300万円」となるわけです。
内装費用だけの工事で300万円がかかります。
「15万円で内装工事ができるんだ」と安易に考えないようにしておきましょう。
内装工事にローンは適用されない
内装工事の費用は基本的に現金払いとなります。
高額な費用がかかるため「ローンが組めるのでは?」と勘違いしてしまう人も多いです。
もしも現金払いが厳しいという人は、金融機関からの融資を受けることを検討しましょう。
内装業者は複数社を比較検討する
内装業者を決める際には、面倒ですが複数社を比較検討することをおすすめします。
なぜなら、複数社の見積書を比較することで費用相場がつかめるからです。
さらにそれぞれの業者によって得意な分野やサービスしていることなどがあります。
自分と相性の良い優良な業者を見つけるためにも、複数の業者を検討してみてください。
居抜き物件の場合は設備や害虫などにも注意する
前述のとおり、居抜き物件は前のお店の設備や内装がそのまま残っています。
それはつまり、古い設備が残っているということです。
そのためお店を開店して間もないのに、設備の故障で業務に支障が出るということも珍しくはありません。
さらに建物が古いと害虫が潜んでいる場合もあります。
害虫駆除などは開店前に徹底して行いましょう。
飲食店の内装工事で考えるべき4つのポイント
ここで、飲食店の内装工事で考えておくべき4つのポイントをご紹介します。
内装工事はあとになってから「こうしておけば良かった」と後悔しても遅いため、工事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
集客できる内装になっているか
まずしっかりと集客できるような内装になっているかを確認しましょう。
今の時代、ご飯を食べに行けば友人と写真を撮り合ってSNSなどにアップすることが多いです。
こうした行動を利用し内装もひと工夫しておしゃれな雰囲気を出すことで、「このお店はおしゃれだからまた来たい」「ここの壁紙を背景に写真を撮りたい」などと集客につながるのです。
集客できる内装を考えることもビジネス戦略の1つだといえるでしょう。
従業員の動線は確保できているか
おしゃれさや好みの内装にすることに注目しすぎて、従業員の動線を確保できていないケースもあります。
内装を考えるときには「従業員が動きやすい動線が作れているのか」を考えることが重要です。
従業員が働いてくれるからこそお店を回すことができます。
大切な従業員が動きづらい内装では、作業効率を低下させてしまうことにもなるため注意してください。
適切な座席数を設置しているか
飲食店の売上を大きく左右するものの1つとして「座席数」があります。
飲食店にとって座席数は非常に重要です。
少人数の顧客をおもてなししたいという思いから少ない座席数にしてしまえば、当然回転率も低下して売上も減ってしまうでしょう。
反対に高い売上を上げたいからといって、店内の広さに見合わないほど多い座席数にしてしまうと窮屈な印象を与えてしまいます。
客席の間隔も調節しながら、適切な座席数を設置することを意識しましょう。
改正健康増進法による禁煙ルールは守れているか
飲食店を始めるならば必ず知っておきたい「改正健康増進法」は、これまで段階的に施工されてきました。
そして2020年4月より「原則的に屋内では禁煙」となったのです。
しかし、喫煙者はまだまだいるわけですので、喫煙者用に喫煙スペースを屋外に作るなどの策を検討する必要があります。
こうした法律面もしっかりチェックして内装を考えていきましょう。
内装工事の費用を抑える2つのコツ
最後に、内装工事の費用を抑えるためのコツを2つご紹介します。
居抜き物件を探す
先にもご説明しましたが、スケルトン物件を契約するよりも居抜き物件の方が費用を抑えられることがあります。
それは内装や設備などをそのまま引き継げるからです。
何も問題がない場合は、スケルトン物件で飲食店を始める費用の半額で済むことも少なくありません。
ただし居抜き物件にも、自分の好みの内装でないことやすぐに壊れてしまう古い設備があることなどのデメリットもあるため注意しておきましょう。
中古やレンタルの設備を利用する
飲食店の内装工事費用のうち、厨房の設備も大きな割合を占めています。
これを抑えるためには、中古やレンタルの設備を利用するのがおすすめです。
中古の設備を使用する場合には、保証期間もしっかりとチェックしておきましょう。
中古の設備を購入してすぐに故障してしまうことも考えられるからです。
また新品でも型落ちしている製品ならば、中古よりも安く販売されていることがあります。
さまざまな角度から見て安く購入できる設備を利用しましょう。
まとめ
この記事では飲食店の内装工事について、費用相場や注意点、費用を抑えるコツをご紹介しました。
長年の夢を叶えるべく内装にこだわって自分のお店を始める人もいます。
しかし、自分の好みだけを表現した内装では集客ができなかったり、従業員の動線を確保できていなかったりと、内装工事に失敗してしまうこともあるのです。
ぜひここでご紹介した内装工事のポイントや費用を抑えるコツを活用して、繁盛する飲食店になるように頑張ってくださいね。