予約客が当日になっても現れない「無断キャンセル」。
飲食店にとっては、当日のために用意した材料費や人件費が無駄になるなど被害はことさら大きいです。
さらに被害を受けても泣き寝入りする店舗が多く、業界にとっても早急に対策を打たねばならない問題の1つといえるでしょう。
今回は飲食店であれば避けたい無断キャンセルについて、その対策を解説します。
あわせて注目のサービスも紹介しますので、導入を検討してみてください。
目次
居酒屋など飲食店で問題の無断キャンセルとは?
本来であればお客様からの予約は、先の売上が見通せるありがたいものです。
一方で、無断キャンセルの被害も増加しています。
無断キャンセルは業界用語で「ノーショウ」ともいい、キャンセルの連絡もなく来店しない行為のことです。
語源は英語の「no-show」。
予約直前にキャンセルする「ドタキャン」とは異なるものです。
無断キャンセルによる飲食店の被害
2018年に経済産業省が発表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」によると、国内の被害額は年間2,000億円にものぼるといわれています。
具体例では100 人の宴会予約を無断キャンセルされたことで、人数分の食材費が無駄になった上に廃棄費用を支払うことになったケースも。
飲食店によっては通常の営業利益で取り戻すことができないほどのダメージを受けてしまう場合もあるので、無断キャンセル対策は喫緊の課題といえるでしょう。
なぜ飲食店で無断キャンセルが起きるのか
無断キャンセルの対策を正しく行うためには、原因の追究が欠かせません。
顧客管理システムの開発を手掛ける株式会社TableCheckが2019年に行った「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」では、無断キャンセルの際に利用していた予約手段は「グルメサイト予約」がもっとも多いことがわかっています。
グルメサイトが普及したことにより便利な世の中になりましたが、実はノーショウの原因にもなりつつあるのです。
詳しく掘り下げてみましょう。
予約のキャンセル忘れ
同様の調査で、無断キャンセル理由として全体の30%が「予約をしたことをうっかり忘れた」という回答をあげています。
前述した通り、現在はインターネット予約が浸透したことにより、誰でも気軽に飲食店の予約ができるようになりました。
ボタン1つで予約できてしまうことから責任感が薄れ、予約していたこと自体を忘れてしまう人が多いということです。
ネット予約の気軽さから複数予約へ
インターネット予約の簡単さは、複数店舗の同時予約に対するハードルも下げています。
TableCheckの調査における無断キャンセルの理由の調査でもっとも多かったのが「とりあえず場所を確保するために予約していた」ということです。
このように、大人数の宴会をとりまとめる幹事が複数のお店をネット上で気軽に仮押さえをし、キャンセルを怠ってしまうケースが問題視されています。
悪質なポイント目当てのカラ予約
あえて無断キャンセルを行う悪質なケースにも注意したいところです。
グルメサイトによっては、予約して来店するとポイントがもらえるサービスがあります。
本来は来店しなければもらえないのですが、店側がキャンセル処理をし損なうと、そのまま自動的に来店ポイントが付与されてしまいます。
ごく一部のユーザーだけになりますが、ポイント狙いの「カラ予約」もありますので気をつけましょう。
無断キャンセル対策サービスを紹介
やむを得ない事情でノーショウが発生する場合ももちろんありますが、前述したように顧客側の身勝手な都合による無断キャンセルが多いのも事実です。
取り返しのつかない被害に遭う前にしっかりと対策をしていきましょう。
近年ではさまざまなサービスが開発され、店舗の形態によって選ぶことができます。
予約時に前受金を払ってもらえるデポジット機能
1つ目はホテルなどで導入されているデポジットシステムが挙げられます。
予約段階でクレジットカード情報を記入してもらうことで、前受金を受け取る仕組みです。
顧客管理システムの「トレタ」などでリリースされている機能で、デポジットを払ってもらうことで無断キャンセルのリスク軽減が期待できます。
無断キャンセルの抑止力となる事前決済システム
2つ目は、事前の決済システムです。
あらかじめ料金を支払ってもらうことで、無断キャンセルを防ぐ効果があります。
実際にオンラインのクレジット決済機能を持つ「キャンセルプロテクション」を利用した店舗では、ノーショウがなくなったという報告が挙がっていました。
被害に遭った際の損害金回収サポート
3つ目はノーショウ被害後のキャンセル料回収です。
「favy ノーショー保証サービス」では、毎月一定額の保証料を払えば、ノーショウが生じた際に被害額を全額保証し、顧客側へキャンセル料を請求するサポートも行います。
キャンセル料の回収を弁護士が代行してくれる「ノーキャンドットコム」にも注目です。
今まで泣き寝入りしていた店舗にとっては心強いサービスといえるでしょう。
まとめ
宿泊業界や航空業界と異なり、飲食業界はキャンセルポリシーの文化が浸透しきっていません。
店舗から顧客へキャンセル料を請求するのは難しい面もあるため、事前の防衛策や被害後のサポート体制を強化することは重要です。
紹介したサービスも参考にしながら、自店にとって最適な無断キャンセル対策を講じてみてくださいね。